スクーデリア・アルファタウリのオランダ人ドライバー、ニック・デ・フリースは1995年2月6日にオランダ・スネークで生まれた。レーシングドライバーを父に持つニックは常日頃からレースへの興味を示し、幼少期にレーシングカートを始めると、やがて国際的なカートレースで頭角を現すようになった。

カートで数々の優勝を手にしたニックは2012シーズンにシングルシーターへステップアップ。フォーミュラ・ルノー 2.0 ユーロカップとNEC（北ヨーロッパカップ）でデビューしたあと、2シーズンに渡りフォーミュラ・ルノー 2.0で研鑽を重ね、同カテゴリーのアルプスおよびユーロカップタイトルを獲得した。2015シーズンには3.5シリーズへ昇格し、1勝を挙げてシリーズ3位とベストルーキーを獲得してデビューシーズンを終えた。

ニックは2016シーズンにGP3シリーズを戦ったあと、FIA F2で3シーズンを過ごし、2019シーズンには開幕直後は苦しみながらもFIA F2チャンピオンを獲得。2020シーズンからはフォーミュラEに戦いの場を移し、電気のみを動力源とするこのシリーズで2020-2021シーズンのワールドチャンピオンになった。また、ニックはWEC（FIA世界耐久選手権）のLMP2クラスに参戦した他、ル・マン24時間レースも2回出走。2022年のル・マンではクラス3位・総合7位で完走した。

様々なカテゴリーで経験を重ねてきたニックの次のステップはメルセデスに籍を置きながら、このドイツメーカーのF1チームでサードドライバーを務めることだった。メルセデスのバックアップを受けたニックは2022シーズンのスペインGP（ウィリアムズ）、フランスGP（メルセデス）、イタリアGP（アストンマーティン）の計3戦でフリープラクティスに参加。さらに同じモンツァでの週末に、体調不良で欠場したアレックス・アルボンの代役としてウィリアムズから予選・決勝に出走し、デビューレースながら9位入賞を記録した。

アブダビでF1シーズンが閉幕して2日後の2022年11月22日、ニックはヤス・マリーナ・サーキットでのヤングドライバーテストに参加し、スクーデリア・アルファタウリAT03を初ドライブ。これによりニックは1シーズンで異なるF1マシン4台をドライブするという異例の記録を残すとともに新世代F1マシンでの価値ある経験をさらに積み上げた。

ニック・デ・フリースは角田裕毅とともにスクーデリア・アルファタウリのドライバーとして2023シーズンのF1世界選手権に参戦する。