モータースポーツを始めたきっかけは?

モータースポーツを始めたのは家族の影響でした。父は以前自動車ディーラーを経営していて、レースも少しかじっていました。自動車はデ・フリース家のDNAに組み込まれていて、祖父がディーラー業を始め、父が継ぎました。ですが、父は僕のレーシングキャリアにすべての時間と労力を注ぐために事業を売却したのです。モータースポーツでの成功は僕の夢であると同時に父の夢でもありました。

 

2023シーズンにスクーデリア・アルファタウリのドライバーとしてF1に参戦する事が決定した瞬間、まず誰に報告した?

契約が決まるまでの過程がとても複雑だったので、明確な瞬間はなかったのですが、契約書へサインしたあと最初に話をしたのはピエール(ガスリー)でした! 僕がジムにいるとき、ピエールが祝意を伝えるためにFaceTimeで連絡をくれたのですが、あれは本当に嬉しかったです。もちろん、契約成立までは家族がずっと立ち会っていましたし、話が本格化してからは父にすべて相談していました。

 

カート時代、イタリアに長く住んでいた理由は?

イタリアにはカートのマニュファクチャラーが数多く存在しているので、カートシーンの大半がイタリアに集中しています。ですので、国際レベルのカートレースへ出るようになるとイタリアに滞在する時間が自然と長くなりました。そこで、イタリアに拠点を置く方がレース間の移動により好都合だろうということで引っ越しを家族で決断したのです。イタリア語の上達にも役立ちました。実は、教室でイタリア語以外話してはいけないビジネスレベルのイタリア語講座を5日間受講したので、家族とイタリアへ移る前にはかなり習得できました。僕のイタリア語はまだ流暢ではありませんが、スクーデリア・アルファタウリに加わったことが上達の助けになっています。

 

 

これまでのレースキャリアのハイライトは?

すでに長い道のりを経験してきましたし、いくつもの浮き沈みがありました。その中からハイライトをひとつ挙げるとするならF2でのタイトル獲得です。F2はそれまでのキャリアの大半を通じて目標にしてきたチャンピオンシップでした。僕はF1到達をずっと夢に描きながら成長してきましたが、その最後のステップがF2でしたので、このタイトルを勝ち取ることは重要でした。

 

すでに2020-2021シーズンのフォーミュラEでワールドチャンピオンを獲得していますが、このタイトルを引っ提げてのF1参戦にプレッシャーはある?

僕はあまり過去を振り返るタイプではありません。もちろん、フォーミュラEワールドチャンピオンはF1までの過程の一部ですが、僕は常に未来へ目を向けていきたいです。これまでに自分が達成してきたことに感謝の念を持っていますが、同時に僕には新しいチャレンジが待ち受けていますし、F1でレースを戦えることをとても楽しみにしています。

 

2023シーズンのF1カレンダーで最も楽しみにしているサーキットは?

もちろんザントフォールトです。どのドライバーも母国サーキットでのレースを目標にしていますが、オランダGPにはフェスティバルやパーティのような雰囲気がありますので、母国のファンの前でザントフォールトをドライブすれば鳥肌が立つでしょう。ザントフォールトの雰囲気は強烈ですので、オランダ人F1ドライバーとして体験するのが待ちきれません。

 

裕毅のことはすでに良く知っていると思いますが、初めて会ったのはいつ?

記憶が正しければ、僕たちが初めて顔を合わせたのは2020年でした。レッドブル・リンクでレッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリがマーケティングイベントを開催していて、同じ週末に僕もレッドブル・リンクでELMS(ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ)に参戦していたのですが、モナコGPの直前だったので裕毅と一緒にモナコへ移動することになったのです。これが裕毅との初対面でした。僕たちは同じフライトに乗り、モナコでも一緒に過ごしました。皆さんもご存知のように裕毅はすごく楽しい人柄ですし、以来連絡を取り合っています。

 

 

幼少期からマックス・フェルスタッペンを知っていると思いますが、マックスとの関係はどのような感じ?

マックスと僕は同時期にカートで育ちましたし、とても幼い頃からお互いを知っていますが、実際に同じレースを戦ったことは一度もありませんでした。実は、マックスと僕が同じレースを戦ったのは2022シーズンのモンツァが初めてでした。偶然にもグリッド上で隣同士になったので、信じられない気分でしたね。僕たちの関係は良好で、どちらも父親からの熱心なサポートを受けながらヨーロッパのカートレースを勝ち進んできたので、レースシーンにおける成長過程も非常に良く似ていますし、お互いをとてもリスペクトしています。もちろんどちらもオランダ出身で話す言語も同じですし、単純に気が合いますね。年齢は僕が上ですが、F1パドックの中ではマックスが兄のように感じます。言うまでもなく、彼はすでに数多くの実績と経験を重ねていますから。

 

レース以外の趣味は?

自分の人生はこれまでレース一色だったのですが、ロックダウン期間中にピアノを習い始めました。音楽の素養は何もなかったのですが、楽器を学び、ロックダウン期間を活用してレースとは違うものにトライできたのは楽しかったです。ロックダウン期間が終わった今はスポーツなどの屋外でのアクティビティを楽しむ機会が増えましたし、可能なときは家族と多くの時間を過ごしています。

 

 

他に興味があるスポーツは?

オランダのスピードスケート選手たちを非常に尊敬しています。スピードスケートはオランダが冬季オリンピックで最も大きな成功を収めている競技で、代表選手たちは僕の自宅から10kmほどの場所でトレーニングをしています。僕はオランダ北部の出身ですので、スピードスケートは地元に深く根付いています。僕の地元は特に人気が高く、幼い頃から身近でしたので、僕も小さな頃はスピードスケートをしていました。選手たちのスポーツに対する姿勢を尊敬していますし、彼らが注いでいる時間や仕事への情熱に大きな感銘を受けています。

また、サッカーも大好きです。

 

応援しているサッカークラブは?

地元チームのSCヘーレンフェーンを応援しています。実は、僕のヘルメットデザインもこのクラブと関係しているのです。ブルー&ホワイトにハートを組み合わせたデザインは地元フリースラント州の州章で、このクラブのユニフォームに組み込まれています。それを自分のヘルメットに長らく取り入れているのです。

 

スポーツの話題のついでに、来たるシーズンに向けてはどんな準備をしてる?

昨シーズン一度だけF1マシンでレースに出場し、精神的にも肉体的にもいかにタフものなのかがよく分かったので冬の期間はできる限りベストな体型を作り上げることに集中しました。新しいパフォーマンスコーチのピュリュと共に、ドバイにてトレーニングキャンプに参加し2023シーズンに向けた準備をしました。一人前のアスリートとしてのきちんとした生活とトレーニング、そして全ての時間と労力を今年の準備に費やすことがすごく楽しいです。